「カネタが展示会に出展する理由-中小製造業の展示会出展戦略」
カネタは、切粉圧縮機の製造販売、及び製缶事業を営む会社です。毎年、いくつかの展示会に出展しています。ただ、展示会は出展するだけでは必ずしも成果につながりません。本記事では、カネタが展示会出展に際して、どのように取り組んでいるかをご紹介します。
1. カネタが展示会に出展する理由は?
2. カネタの展示会選定の考え方
3. 展示会の出展準備と当日運営・事後フォロー
(1)展示会の出展準備
(2)展示会の当日運営
(3)展示会の事後フォロー
4. 展示会に出展して気づいた点や成果
5. カネタが出展した展示会
6. 日本国内の主要な製造業向け展示会
(1)開催済の展示会
(2)これから開催される展示会
1.カネタが展示会に出展する理由は?
カネタが展示会に出展する目的は「新しい出会いの入口をつくること」です。
カネタが製作している切粉圧縮機は、切削加工で排出される切粉を圧縮する装置です。切粉の容量を圧縮して保管や運搬がしやすくなる利点がある他、切削油の回収も可能な装置です。納入後、気に入っていただいて、追加受注をいただくこともありますが、一度納入すると長く使っていただける装置であるので、継続的に新しいお客様との出会いが必要です。
製缶事業は、既存のお客様との継続取引がメインですが、事業環境が変化する中で、将来にわたって安定して事業を行うには、やはり新しいお客様との出会いが必要と考えています。
「新しい出会いの入口をつくる」には、一度に多くの企業と出会える展示会は非常に貴重な機会です。特に、カネタのようなBtoB製造業にとっては、展示会は、情報収集したい企業の方々が集まる場であり、ふだん出会えない企業から声をかけてもらう機会であると考えています。
2.カネタの展示会選定の考え方
とは言え、どんな展示会でもいい訳ではありません。カネタでは、展示会テーマ、来場者、投資対効果などを総合的に考え、出展する展示会を選定しています。
| NO | 項目 | 内容 |
| 1 | 展示会テーマ | カネタの切粉圧縮機や製缶事業が貢献できる分野かどうか |
| 2 | 来場者 | カネタのお客様となりうる企業と出会える場であるかどうか |
| 3 | 投資対効果 | 来場者数・出展費用・当社からの距離など |
3.展示会の出展準備と当日運営・事後フォロー
では、具体的に展示会出展準備、当日運営、事後フォローをどのようにしているのかを説明します。
(1) 展示会の出展準備
展示会の出展準備として重視していることは、「出展コンセプトを明確にすること」です。カネタでは切粉圧縮機の他に製缶事業を行っています。製缶事業では、お客様のご依頼でさまざまな大きさ、種類の製品を作成しています。
自社ができること、作れるものをたくさん見てもらいたくなるのですが、あれも、これもと展示すると、総花的になり、かえって、当社の特徴や強みが伝わりにくくなります。展示会によって、切粉圧縮機をメインにするのか。製缶事業をメインにするのか。製缶事業をメインにする場合は、どんな分野をメインで展示するのか。出展コンセプトを明確にし、出展コンセプトに添って、お客様のどんな課題に対して、どんな課題解決ができるかを考えて、説明パネルや製品サンプルなどの展示内容を決めています。
北陸地方最大級の産業展示会「MEX金沢2025」では、「切粉そのまま捨ててませんか?」というキャッチコピーを壁面に大きく掲示しました。また、同じキャッチコピー入りのTシャツを作成し、スタッフで着用してアピールしました。そうした、お客様視点での訴求で、引き合いをいただくことができました。
また、ブースでは、動画を流すなど来場者に目にとめてもらえるための工夫を行っています。動画は“動き”で目を止めることができるので、特に加工プロセスや装置の動作がある製造業は効果が高いです。
ブースの設計、準備以外で事前に行っていることは、事前のお声がけや招待状の送付です。過去に資料請求いただいたお客様や、過去にご紹介いただいた商社様などに招待状をお送りすることで、改めてカネタを思い出していただき、商談進捗の一つのきっかけとしていただいています。
(2) 展示会の当日運営
展示会の当日運営で実施していることは以下などです。
・スタッフは座らず、ブース前で立って対応。これは、声をかけやすい雰囲気づくりのためです。
・名刺をいただいた来場者様に対しては、必要に応じて、準備した資料をお渡しする。
・質問で答えられなかった内容は後日回答する他、記録して、社内共有する。
また、当日運営メンバーの中には、知識面で勉強途上のスタッフもいます。そうしたメンバーは、営業担当者が他のお客様の対応中や不在時などは、お客様との共通の話題を見つけて話ができるよう、営業トークで間を繋げるような工夫もしています。

(3) 展示会の事後フォロー
展示会は出展しただけで、成果が得られるとは限りません。事後フォローが必要です。以前は名刺交換した来場者様に対して、展示会後にお礼メールを送っていました。ただし、お礼メールをお送りしても必ずしも次につながる訳ではありませんでした。
考えてみると、展示会は、多くの来場者様と出会える場ではあるものの、展示会の開催タイミングが、お客様が「ほしいタイミング」であるとは限りません。お礼メールを受け取っても、自分が「ほしいタイミング」でなければ引き合いにつながりません。また、来場者は多くのブースを訪問しているので、多くの出展企業からお礼メールが届き、埋もれてしまうのかもしれないと考えました。
そこで、せっかく出会えたお客様に忘れられないように、名刺をいただいた来場者様には、継続的に近況報告などのメールをお送りして、必要なタイミングで思い出していただけるように、接点を絶やさない工夫をしています。
また、展示会出展後は展示会出展チームでミーティングを行い、気づいた点や次回への改善策を話し合い、次回の改善につなげています。
4.展示会に出展して気づいた点や成果
実際に展示会に出展してみると、気づいた点がいくつもあります。
たとえば、展示会の出展目的は「新しい出会いの入口をつくること」ですが、展示会の出展準備のために自社の事業状況をふり返ったり、社内で話し合うことで、改めて自社の強みに気づくことがありました。
また、展示会当日、来場者様からの質問に答える中で、自分の知識不足に気づいたり、お客様が疑問に感じる点が整理されたりもしました。
それと、展示会で初めてお会いする方で、日頃、SNSを見てくださっている方がおられました。「いつも見ています」と言っていただいて、展示会出展という取り組みが「点」ではなく、さまざまな取り組みの一つであって、相互に関連して成果につながっているイメージが持てたりもしました。
5.カネタが出展した展示会
下表はカネタが直近で出展した展示会です。自社の強みと展示会テーマがどれだけ合うか。お客様に出会える可能性がありそうか。費用対効果などを考えて、出展する展示会を決めています。
| 展示会名 | 開催日 | 会場 | 来場者数 | URL |
| MEX金沢2025(第61回機械工業見本市金沢) | 2025/5/15(木)~17(土) | 石川県産業展示館 | 33,181名 | https://www.tekkokiden.jp/mex/ |
| 第14回 次世代ものづくり基盤技術産業展 | 2025/5/28(水)~29(木) | 吹上ホール(名古屋) | 6,212名 | https://www.techbizexpo.com/ |
| 第27回きたしんビジネスマッチングフェア2025 | 2025/11/5日(水)~6(木) | マイドームおおさか | https://www.cgc-osaka.jp/event/169 |

6.日本国内の主要な製造業向け展示会
下表は、日本国内の主要な製造業向け展示会です。中でも、メカトロテックジャパン(MECT)と日本国際工作機械見本市(JIMTOF)が有名です。
メカトロテックジャパン(MECT)と日本国際工作機械見本市(JIMTOF)はどちらも隔年開催で、奇数年は、メカトロテックジャパン(MECT)の開催年、偶数年は日本国際工作機械見本市(JIMTOF)の開催年となっています。
(1)開催済の展示会
| 展示会名 | 開催日 | 会場 | 来場者数 | URL |
| TECHNO-FRONTIER 第3回 部品加工技術展 | 2025年7月23日(水)~25日(金) | 東京ビッグサイト | 28,928名 | https://tf.jma.or.jp/index.html |
| 機械要素技術展(大阪)・第28回 ものづくり ワールド [大阪] | 2025/10/1(水)~3 (金) | インテックス大阪 | 30,615名 | https://www.manufacturing-world.jp/osaka/ja-jp.html |
| メカトロテックジャパン2025 (MECT2025) | 2025/10/22(水)~ 25(土) | ポートメッセなごや | 7,613名 | https://mect-japan.com/2025/ |
(2)これから開催される展示会
| 展示会名 | 開催日 | 会場 | 主催者 | URL |
| INTERMOLD 2026(第37回金型加工技術展)/ 金型展2026 | 2026/4/15(水)~17(金) | インテックス大阪 | インターモールド振興会 | https://www.intermold.jp/ |
| 2026/5/20(水)~22(金) | ポートメッセなごや | |||
| TECHNO-FRONTIER・第4回 部品加工技術展 | 2026/7/15(水)~17(金) | 東京ビッグサイト | 日本能率協会 | https://tf.jma.or.jp/index.html |
| 機械要素技術展(大阪)・第29回 ものづくり ワールド [大阪] | 2026/10/7(水)~9(金) | インテックス大阪 | RX Japan株式会社 | https://www.manufacturing-world.jp/osaka/ja-jp.html |
| JIMTOF 2026 第33回日本国際工作機械見本市 | 2026/10/26(月)~ 31(土) | 東京ビッグサイト | 一般社団法人日本工作機械工業会 | https://www.jimtof.org/jp/index.html |
今回は、カネタの展示会出展についてご紹介しました。ふり返ってみると、展示会出展は、準備段階で、自社の強みは何なのか考える機会にもなっていること。展示会で来場者様の方へご説明することで、自社の切粉圧縮機や製缶事業の強みの説明の機会となっていることに気がつきました。
また、新しいお客様に出会うことは、新たな「お客様の課題」を教えていただき、自社の対応力を広げる機会にもなっています。今後とも展示会出展を続け、多くの新しいお客様と出会っていきたいと考えています。
MEX金沢2025(第61回機械工業見本市金沢)への出展については以下に詳しく書いておりますので、こちらもぜひご覧ください。
切粉圧縮機展示会 北陸地方初出展レポート
https://kaneta-tekkou.co.jp/blog/kirikoasshukukitennzikaihokuriku/
文責:営業部 久松早苗