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黒皮材とは?ミガキ材とは?-鉄鋼材料の基礎知識

カネタでは、鉄などの金属材料を使って、製缶加工などの物づくりをして、お客様に納品しています。
一般に、鉄といってもいろいろな種類があります。 鉄に炭素などの成分を加えてできた材料を鉄鋼材料と呼びます。カネタの仕事について知っていただくために、鉄鋼材料の基礎知識についてご紹介します。

鉄鋼材料の特徴

鉄鋼材料を作るときに、鉄に加える成分としては、シリコン、マンガン等もありますが、主成分は炭素です。
鉄は、炭素を加えることで、強く硬くなるためです。炭素を加えた鉄鋼材料を特に、炭素鋼と言います。

鉄鋼材料の炭素量による違い

(1) 強さや硬さ
炭素量が増えるほど、強く硬くなります。
(2)加工性
炭素量が増えるほど硬くなり、加工しにくくなります。
(3)溶接性
炭素量 0.3%以下であると溶接が容易です。
炭素量が 0.3%を超えると、溶接の熱で焼きが入り、焼き割れといった欠陥が生じやすくなります。

下表は、主な鉄鋼材料の炭素量を示しています。

名称(記号)
名称(和名)
炭素量
1
SPC 材
冷間圧延鋼板
0.1%
2
SS材
一般構造用圧延鋼材
0.1~0.3%
3
S-C 材
機械構造用炭素鋼鋼材
0.1~0.6%
4
SK材
炭素工具鋼鋼材
0.6~1.5%
5
SB材
ボイラおよび圧力容器用鋼板
0.2~0.3%
6
SM材
溶接構造用圧延鋼材
0.18~0.25%

また、鉄鋼材料の品種によって、市販されている形状にはさまざまなタイプがあります。

記号
品種
平鋼
丸棒
四角棒
六角棒
鋼板
形網
1
SPCC
冷間圧延鋼板
2
SS400
一般構造用圧延鋼材
3
S45C
機械構造用炭素鋼鋼材
4
SK95
炭素工具鋼鋼材

SPH 材(熱間圧延鋼板)と SPC 材(冷間圧延鋼板)-工程による違い

鉄鋼材料の種類には、鉄鋼材料を作る工程による違いもあります。
製鋼工程で作られた鋼から、まず熱間圧延工程を経て、熱間圧延鋼板(SPH 材)が作られます。
この熱間圧延鋼板をさらに冷間圧延により薄くして、冷間圧延鋼板(SPC 材)が作られます。
熱間圧延では、1,000°C近辺から常温に温度が下がる間に材料表面に、黒錆び(酸化被膜)が生じます。
黒い皮で覆われたように見えるので、これを黒皮材と言います。 外観の見栄えが必要な製品や精度を要する部品に黒皮材を使う場合には、表面の黒皮を切削加工やブラスト加工で除去する必要があります。また、酸洗により外観をきれいにした酸洗材(SPHC)もあります。 一方、常温で冷間圧延した冷延圧延した冷延鋼板は滑らかな表面に仕上がるので、ミガキ材と言います。

NO 名称 記号 通称 補足
1 熱間圧延鋼板 SPH材 黒皮材 SPHCは黒皮材を酸洗処理した材料
2 冷感圧延鋼板 SPC材 ミガキ材 0.4〜3.2tの規格がある

代表的な鉄鋼材料とは

ここからは、代表的な鉄鋼材料について紹介します。

SPC 材とは-冷間圧延鋼板

SPC 材とは、0.4mm から 3.2mm の薄板です。SPC とは、Steel(鋼)、Plate(板)、Cold(冷間)の略称です。Steel Plate Cold とは、冷間圧延鋼板の意味です。一般にミガキ材と言います。最大でも 3.2mm なので板材のみの取り扱いで、丸棒や角棒はありません。
炭素量は 0.15%以下なので、炭素鋼の中では最も柔らかい材料です。また、この SPC 材には以下の 3 つの種類があります。
SPCC、SPCD、SPCE です。SPCC は一般用、SPCD は絞り用、SPCE は深絞り用です。 カネタでは、使用している材料は SPCC です。

NO 記号 意味 用途
1 SPCC C:Commercial 一般用
2 SPCD D:Deep Drawing 絞り用
3 SPCE E:Deep Drawing Extra 深絞り用

SS 材とは-一般構造用圧延鋼材

SS 材は、汎用材として最もよく使用される熱延鋼材です。 最もよく使われているのは、SS400 です。
SS とは、Steel Structure(構造用鋼)の略称です。 鋼板、棒材、形鋼といった形状や寸法のバリエーションも豊富です。
特徴は加工しやすい点です。また、SS 材は材料の表面が良好である他、溶接性も良好です。
なお、SS に続く3桁の数字は、引っ張り強さの最低保証値を表しています。 例えば、SS400 であると、引っ張り強さが最低でも 400N/mm2 という意味です。

S-C 材とは-機械構造用炭素鋼鋼材

S-C 材は、SS 材に次いで、よく使われている材料です。 特徴は硬く、耐摩耗性に優れている点です。
SS 材同様、多くのバリエーションが市販されています。 代表的な S-C 材としては、S45C や S55C があります。
最後の C は、炭素(Carbon)の意味です。 間の数字は炭素量を表していて、S45C の場合は、炭素量 0.45%、 S55C の場合は、炭素量 0.55%です。
なお、レーザーで穴を開けると、焼きが入ってしまい、後からの加工はしにくいです。 SS 材はレーザーで下穴を開けて、タップを立てられますが、S-C 材はできないなどの違いがあります。

SK 材とは-炭素工具鋼鋼材

SK 材は、工具に使われる鋼材です。SK 材は、Steel Kougu の略称です。Kougu とは工具のことです。
SK 材の特徴は、硬さと耐摩耗性です。形状のバリエーションは、SS 材、S-C 材よりも少なく、丸棒と平鋼が中心です。

特色ある鉄鋼材料のご紹介

上記以外にも、カネタではさまざまな鉄鋼材料を使用しています。 下表は、カネタで使用している鉄鋼材料です。

板の種類

記号
名称
補足事項
1
SS400D
ミガキの FB
厚みによってレーザー切断可能
2
SGD
ミガキ棒鋼用一般鋼材
レーザー切断不可
3
SPHC-P
酸洗材
リン酸処理で黒皮被膜を除去したもの
4
SECC
電気亜鉛メッキ鋼板
クロムフリーで有害成分がない。
一般に「ボンデ」と呼ばれている。
5
SGCC
ガルバリウム鋼板
(溶融亜鉛メッキ鋼板)
メッキ層が厚く耐食性が良い。(レーザー切断可)
6
SGCC-C
クロム酸処理した
溶融亜鉛メッキ鋼板
メッキ層が薄く溶接が容易。(レーザー切断不可)
7
CPL
縞鋼板
SUS、アルミ、チタン等もある
8
QSK
焼入鋼帯
(焼入リボン鋼・リボン鋼)
ばね材用炭素鋼帯(ばね材)の一種

(注意1)CPL という記号はほとんど使われていません。SUS にも縞板があり、SUS304CP などがあります。
ただし、語尾の CP は、Cold Plate(冷間圧延)を表しています。 混同を避けるため、CPL ではなく、「シマ板」、「縞板」と記載することが一般的です。
(注意2)QSK という記号もほとんど使われていません。 「焼入リボン鋼」、「リボン鋼」という記載が一般的です。

参考図書 「加工材料の知識がやさしくわかる」(西村仁)「絵ときでわかる機械材料」(門田和雄)

※製缶、YAGレーザーについては以下のページをご覧ください

製缶・溶接ーカネタの職人の技術が光る!お客様のニーズに合わせたものづくり

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