書籍「徹底図解 溶接の基本と作業のコツ」のご紹介
カネタでは日頃から若手の育成に取り組んでいます。現場でのOJT教育は日頃から実施しています。また、本で体系的な知識に触れることも重要だと考えています。
「徹底図解 溶接の基本と作業のコツ」(宮本卓監修・2023年7月発行)は文字通り、溶接の基本と作業のコツについて、わかりやすく解説した実践書です。初心者にもわかりやすいように写真やイラストを多用して具体的に解説しています。
1.「徹底図解 溶接の基本と作業のコツ」概要
「徹底図解 溶接の基本と作業のコツ」の主な内容は以下の通りです。
・溶接の基本知識や作業内容、金属が結合する原理
・溶接を行うために必要な環境や道具
・アーク溶接の基本テクニック(姿勢、腕の動かし方、角度、順番、電流・電圧の設定など)
・被覆アーク溶接(溶接棒を使い溶接する被覆アーク溶接の実践テクニック)
・作業効率が高く、国内でもっとも広く使用されているマグ溶接(半自動溶接)の実践法
・穴が開いたり、凹んだりなど、溶接をミスした場合のリカバリー方法
1.「徹底図解 溶接の基本と作業のコツ」目次
次に「徹底図解 溶接の基本と作業のコツ」の目次は以下の通りです。
第1章 溶接の前にすべき準備と対策
1-1 溶接で何をつくる? まず特徴と長所を知る
1-2 作業環境を考慮して溶接方法を決めよう
1-3 準備しておきたい溶接の基本アイテム
1-4 まず注意したい溶接機の設置環境
1-5 保護具をそろえて安全第一に溶接を!
1-6 自宅で溶接する場合どこですべき?
1-7 風は溶接の大敵 溶接時の防風対策
1-8 体に悪影響を及ぼすアーク光の危険性と対策
1-9 高温になる現場 必須のやけど・熱対策
1-10 少しの油断も禁物! 溶接は感電が危険
第2章 溶接のしくみを押さえておこう
2-1 金属の特徴と3つの接合方法
2-2 金属同士をつなぐ方法と理論を知る
2-3 金属を選ぶときは特性をチェック
2-4 激しい光と熱を放つ溶接の「アーク」とは?
2-5 母材か作業台か アースのしくみと取り方
2-6 溶接方法によって異なる作業の姿勢
2-7 見た目の美しさを決めるビードとは?
2-8 溶接棒は距離とスピードが大切!
2-9 肉眼では見えない! 溶接プールの正しい見方
2-10 まずはここから! 溶接の基本テクニック
2-11 ビード幅を調節できるウィービングビード法
2-12 溶接はここから始まる 仮止めをマスターしよう
2-13 溶接ミスのもとになる鉄のひずみ方を知る
2-14 金属同士をつける溶接継手を知る
2-15 角度と溶け込みを意識し開先をうまく溶接する
2-16 熱を分散させるため溶接順序を考える
2-17 前進法と後進法 動かす方向で異なるコツ
2-18 溶け込みを左右する電流・電圧の基本設定
2-19 クレータを処理して美しく仕上げる
2-20 飛び散るスパッタは熱いうちに取り除く
2-21 ビードを引いたらまずはスラグを除去
第3章 すべてを手作業で行う被覆アーク溶接
3-1 すべて手で操作する被覆アーク溶接法
3-2 被覆アークの実践① 溶接前の準備
3-3 被覆アークの実践② 溶接棒の種類を知る
3-4 被覆アークの実践③ 溶接棒の取り付け方
3-5 被覆アークの実践④ 溶接機の電源の特徴
3-6 被覆アークの実践⑤ 電流を扱う基本術
3-7 被覆アークの実践⑥ アーク発生のポイント
3-8 被覆アークの実践⑦ 後戻りスタート法
3-9 被覆アークの実践⑧ 捨て金法
3-10 被覆アークの実践⑨ ビードのつなぎ方
3-11 被覆アークの実践⑩ 水平すみ肉溶接
3-12 被覆アークの実践⑪ アーク長の見極め
3-13 被覆アークの実践⑫ 溶接棒を最使用するとき
第4章 ガスを使って半自動で行うマグ溶接
4-1 ビードが美しいマグ溶接の基本を知る
4-2 マグ溶接で用いるワイヤの種類
4-3 シールドガスの種類と知っておきたい性質
4-4 溶け込みに直結する電流と電圧の調節方法
4-5 シールドガスが不要! セルフシールドアーク溶接
4-6 実践!マグ溶接① 溶接機の機能を知る
4-7 実践!マグ溶接② 速度と角度に注意!
4-8 実践!マグ溶接③ 移行減少とは?
4-9 実践!マグ溶接④ クレータの処理方法
4-10 実践!マグ溶接⑤ トーチの狙い位置
4-11 実践!マグ溶接⑥ パルスマグ溶接法
第5章 さまざまな金属を溶接できるティグ溶接
5-1 スパッタの量が少ないティグ溶接の基本
5-2 ティグ溶接の実践術① 交流と直流の使い分け
5-3 ティグ溶接の実践術② 溶加棒を見極める
5-4 ティグ溶接の実践術③ シールドガスを知る
5-5 ティグ溶接の実践術④ タングステン電極とは?
5-6 ティグ溶接の実践術⑤ タングステンは先端が命
5-7 ティグ溶接の実践術⑥ アークの起動方法
5-8 ティグ溶接の実践術⑦ トーチのもち方と送り
5-9 ティグ溶接の実践術⑧ 身につけたい溶接テク
5-10 ティグ溶接の実践術⑨ 角溶接を覚えよう
5-11 ティグ溶接の実践術⑩ クリーニング作用とは
5-12 ティグ溶接の実践術⑪ パルスティグ溶接法
第6章 リカバリー対応と仕上げのコツ
6-1 溶接のミスは早めに補修が基本!
6-2 穴が開いたり凹んだり 溶接不具合の原因は?
6-3 小さなミスは即解決 溶接不具合の直し方
6-4 電流値に原因? 溶接機の設定を微調整
6-5 溶接部が割れた! 予防とリカバリー方法
6-6 クレータ処理の失敗をすぐにリカバリー!
6-7 トーチの具合の悪さはスパッタの詰まり?
6-8 さまざまな形の母材を仕上げるコツ
第7章 金属の違いに見る溶接ポイント
7-1 金属の性質を表す応力・靭性・剛性
7-2 溶接素材【鋼】鋼の炭素当量とは?
7-3 溶接素材【鋼】特性が異なる鋼材
7-4 溶接素材【ステンレス】種類で異なる溶接術
7-5 溶接素材【アルミニウム】溶加棒の選び方
もっと知りたい「溶接」の世界
vol.1 作業着をそのまま洗うと洗濯機が壊れる!?
vol.2 初心者は受講すべき? アーク溶接の特別教育
vol.3 溶接には向かない焼き入れ鋼材
vol.4 溶接面の裏にも美しいビードを引く裏波溶接
vol.5 突き合わせ溶接に開先不要! 意外と使えるプラズマ溶接
vol.6 低温で参加してしまうチタンの溶接は難しい?
具体的な手順についての記載が多く、初心者向けに写真やイラストを交えて、わかりやすく具体的に説明されています。まさに「徹底図解」な内容であると言えます。
「自宅で溶接する場合」という文言からわかる通り、仕事で取り組む以外にDIY的に取り組む人も対象にした内容です。また、コラムなども興味深い内容となっています。
2.「徹底図解 溶接の基本と作業のコツ」内容紹介
次に「徹底図解 溶接の基本と作業のコツ」から内容を一部抜粋してご紹介します。
1.主な溶接法
主な溶接法として以下の3つを紹介しています。
溶接 説明
被覆アーク溶接 すべて手作業で行うため「手溶接」とも呼ばれる。
マグ溶接 ワイヤと呼ばれる材料を用いて溶接する。ワイヤは自動で送られるので「半自動溶接」とも呼ばれる。
ティグ溶接 タングステンという金属を電極として用いる方法。溶接部の仕上がりがきれい。3つの中で唯一、アルミニウムの溶接も可能。
2.各鋼材の用途と種類
本書では、各鋼材の用途と種類についても説明しています。
SS材(Steel Structure) SM材(Steel Marine) SN材(Steel New)
用途 ビル、橋など一般的な構造物 造船用に開発された鋼材。発電プラント、産業機械など 阪神淡路大震災後、耐震強度を保つために開発された。耐震性が求められる建物の支柱など
主な規格 SS330、SS400、SS490、SS540 SM400、SM490
特徴 ・加工が容易。
・錆びやすい。
・価格が安い。
・SS400には予1熱・後熱などの熱処理が不要というメリットがある。(ナマ材) ・溶接性が高い
・予熱や後熱など熱処理が必要
・価格は最も高い ・金属に含まれる不純物の規定値が厳しく規制されている。
・低温割れを起こしやすい。
・価格は高い。
以上、「徹底図解 溶接の基本と作業のコツ」の概要や目次、内容の一部紹介をさせていただきました。読んでいただいて、興味が湧いたら、ぜひ本書を手に取って内容をご参照ください。