カネタ50年の歴史②
カネタの歴史 vol.2-トンネルの型枠を組付けする技術で信頼を得る
カネタでは、創立50周年を機に、カネタの歴史を「創立50周年記念誌」にまとめました。多くの方に読んでいただきたく、「創立50周年記念誌」の内容をご紹介します。今回は、創業初期(1971-1979)のお話です。
1.カネタ鉄工所の設立と名前の由来-「かなざし」と田袋の「タ」
1971(昭和46)年、社名を「カネタ鉄工所」と命名した。「カネタ」の由来は以下である。
創業者である田袋猛の父、田袋吉二が戦後(1946 年/昭和21年)徳之島で、飛行機の残骸のスクラップから、鍋窯や鍬などの農機具や、はつりをつくる鍛冶屋を始め、島、随一の腕前だと評判になっていた。
その父、田袋吉二は、愛用していた工具の「かなざし」に、田袋の「タ」をあわせて屋号にしていた。これを「カネタ」と読ませて、ロゴとして現在も使用している。
2.創業初期-新幹線や国道トンネルなどの構造物を手がけ、信頼を得る
カネタの受注は順調に進み、大きな製品の依頼が増えてきたため、工場が手狭になってきた。そのため1972(昭和47)年、山善機械の社内外注として同社の敷地内に移動する。伯父の徳次郎は退社したため、当時、3 人で業務をこなしていた。(創業者の田袋猛、弟の田袋勇、従弟の栄元末次の3人)
この頃から、新幹線や国道トンネルなどの構造物を手掛けるようになる。設計、組付け、検査、現場据付という作業工程を自社で行っていた。
ある時、広島県府中市の電話線地中トンネルや新幹線のトンネル工事で、広島駅から東約8㎞にあるトンネルの型枠を組付けする業務を青木建設から請け負った。現場で型枠を取り付けようとすると現場監督から、自分たちでやるからカネタの人員は必要ないと言われ、その場は一旦引き下がったが、結局現場の職人たちで組付けることはできず、カネタの出番がやってくる。
カネタでは型枠を組み立てる際に、ミリ単位で調整しながらピンを差し込み留めていく。ピンの向きも細かく計算され、設計者しかわからない精密な技術が隠されていた。職人たちのギブアップを受けて、カネタの指示でやり直し、予定より半日遅れて完了した。
このことで、カネタは大きな信頼を得、カネタ側も自分たちの技術に自信をもつことになる。
トンネル工事に入ってから3 日目、トンネル内でダイナマイトの爆発事故が発生する。重症を負った作業員の姿を見て、安全第一であることを改めて身に染みて感じた。
工事は、トンネルの両側からスタートして中央で貫通させる。その時の発破で砕かれた石は、記念に関係者に配られる。「将来、結婚したら安産祈願になる」からともらった、栄元末次は、今も大切に保管している。
1975(昭和50)年、山善機械で大きな構造物の仕事があった。つくっては仮組みし、試験を受けて出荷、出荷と同時に現場に行って組付けという作業が続いた。当時は鉄道や道路がどんどん造られていく時代でとても景気がよかった。
トーヨーサッシの関連会社である東洋技研の仕事も受注した。その時にのちに関わりが深くなる森滋春と出会う。東洋技研では、出来上がったアルミの型材をアルマイトしたり、塗装したり、洗浄するためのタンクでライン作業をする。カネタはその設備をつくっていた。
3.取引先の倒産-オイルショックの影響
1978(昭和53)年、主となる取引先が倒産する。何の前ぶれもなく、出張先でこれを聞いた栄元末次は驚きつつ現場の仕事を最後まで行い、代金もその場で回収してきた。
この倒産をきっかけに、カネタ社員4人は摂津市一津屋の工場を借りて、本格的に独立した形で業務をスタートする。このときの主要取引先は、山善機械、クリスタルエンジニアリングだった。
●オイルショック
1973(昭和48)年10月、突如日本中のスーパーの店頭からトイレットペーパーが消えた。
これが第1次オイルショック(~昭和49年8月)で、第4次中東戦争の勃発によって、OPEC が原油の供給制限と輸出価格の大幅な引き上げを行ったことによるものだった。
人々は「石油供給が途絶えたら物不足になる」という不安感から買いだめや買い占めに走り、売り惜しみや便乗値上げをする小売店も現れ、日本中が大騒ぎになった。
原油の値上がりによって、物価は瞬く間に上昇し、急激なインフレが起こった。第1 次オイルショック前と比べると、一般消費者物価上昇率は、5.7%から15.6% になり、翌年1974年は20.9%まで上昇した。
鉱工業生産指数は1971 ~ 1973 年度の平均が8.1% だったのに対して、1974 ~ 1975 年度の平均はマイナス7.2% となった。
これまで順調に伸びていた経済活動は失速し、1974年度、日本経済は戦後初めてマイナス成長となり、高度経済成長期が終わりを告げた。
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